どうも、あきらです!
少子高齢社会の日本。人口の3割近くが65歳以上という状況で不安視されているものに”介護”があります。
- 社会保障費の圧迫
- 介護人材の不足
など懸念材料が多いです。そんな数ある介護問題の中でも我々にとって一番気になる問題と言えば介護費用でしょう。
厚生労働省の調べでは介護サービス受給者1人当たりの費用は194,500円となっています(厚生労働省ホームページより)。
もちろん介護保険の自己負担分で見るともっと小さい額になりますが、介護は長期にわたって行うケースがほとんど。となれば介護費用はできるだけ抑えて経済的負担は小さくしておきたいですよね!
そこでこの記事では公務員時代に介護保険を担当していた僕が”介護費用の負担を抑える”ことができる公的サービスをご紹介します。
これらのサービスを使うことで介護費用を年間で数万円以上抑えることができるようになります。今、介護に直面している人もこれから先に介護に直面する人も最後まで読んで少しでも介護負担を減らしてみて下さい。
介護保険のサービスを使うために
本題に入る前に介護保険のサービスを使うためのステップをご紹介します。「もう知ってるよ!」という場合は次の見出しまで読み飛ばしてください。
65歳になる月に市町村から”介護保険被保険者証”が送られてきます。介護保険のサービスを使う上で欠かせない”介護保険被保険者証”ですが、このままでは介護サービスを利用できません。
まずは要介護認定の申請をしなければいけません。要介護認定とは介護サービスを受けようとする人がどの程度の介護を必要とするのかを審査することです。審査では、
- 対象者の日常生活を調査
- 対象者の主治医からの意見書
を元に専門家の意見を聞いて判断されます。審査の結果は介護度が低い順から、
- 要支援1
- 要支援2
- 要介護1
- 要介護2
- 要介護3
- 要介護4
- 要介護5
の7段階に分けられます。この介護度によって使える介護サービスの量や種類が決まります。基本的に申請をしてから介護度の決定までに一か月くらいかかるので、介護サービスの利用を検討している場合は早めに申請しましょう。
ちなみに介護度が決まっていなくても介護サービスの利用ができます。詳しくはお住いの市町村の”地域包括支援センター”へ相談してみて下さい。
介護度が決定したらケアマネジャーがつくようになります。対象者にどの様な介護サービスを使用したら効果的なのかを考えてくれる方です。介護サービスについてはケアマネジャーと相談しながら使用することになります。
次の見出しでご紹介する介護サービスを使用したい場合も相談してみて下さい。
要介護度の決まり方
ここで一つ、要介護度の決まり方についてご説明します。
介護度の判定基準は、
その人の日常生活にどれだけ他の人が手助けしなければならないか
となります。
- 移動するのに人の力がいる(車いすで移動する方)
- 食事が一人でできない(箸やスプーンを持てない)
- 入浴が一人では難しい
などなど、「こういった日常動作に他人の手助けが必要=介護が必要」という基準になります。
介護度は「手助けの量=手助けをする時間がどれだけかかるのか」で判定されます。
つまり、一人暮らしをしている方には介護度が付かない、もしくは付いても介護度が低い場合が多くなります。
介護保険は65歳以上を対象としているので加齢による運動量の低下については厳しく見られます。ですので、
- 時間がかかるが食事は介助なしでできる
- 時間はかかるが一人で移動が可能
- 手がしびれて動かしづらいが日常生活は送れる
といった場合は介護度が衝くことは難しくなるので覚えていて下さい。
介護費用を抑えられる介護サービス5選
- 負担限度額認定証
- 家族介護給付券
- 住宅改修
- 特定福祉用具販売
- 障害者控除
の5つです。一つずつ見ていきましょう。
負担限度額認定証
1つ目は”負担限度額認定証”です。
このサービスは、介護保険の対象外となる施設の食費と居住費が段階に応じて減免される制度です。介護度が高くなると施設の利用を検討します。その時に利用してもらいたいサービスです。
このサービスを利用すると、一日当たり
- 食費:85円~1145円
- 居住費:7円~1186円
安くなります。幅があるのはその人の所得のによって負担段階が変わるからです。施設に入居している人にとっては一日数十円でも安く利用できるに越したことはありません。
このサービスを利用するためには、
- 住民税非課税世帯であること
- 預貯金等の資産が基準未満であること
の2つが要件になります。
1つ目の要件である住民税非課税世帯とは、
- その年の生活保護法による生活扶助を受けている方
- 前年の合計所得が135万円以下(給与所得なら204万4千円未満)の方
のいずれかに該当する場合です。国民年金だけ受給している場合はほぼほぼ非課税世帯になります。非課税世帯に該当するかどうかは住民票を置いている市町村で確認できます。
非課税世帯であれば2つ目の資産要件をクリアすれば負担限度額認定証を手にすることができます。その資産要件とは、預貯金や株式を含む資産が合計500万円以下であること。
正確には対象者の収入によって資産要件は変わります。一番厳しい条件である500万円を提示したのはどの資産要件にも当てはまるからです。
”負担限度額認定証”の申請は住民票を置いている市町村の介護保険を担当している課の窓口でできます。
家族介護給付券
2つ目は”家族介護給付券”です。別名”オムツ券”!その名の通りオムツの費用に充てることのできるサービスです。
このサービスは在宅で介護をしている(されている)方が対象となっています。市町村ごとに給付してくれる額などが変わるので一概には言えませんが、
- ドラッグストアなどで使える券を支給
- 現物給付
の2パターンが多いです。
申請はお住いの市町村の介護保険担当課へ行います。対象要件としては、
- 在宅介護であること
- 住民税非課税世帯であること
という2つの要件が多いです。このサービスは市町村ごとの任意事業。ですので、各市町村ごとに給付額などが大きく変わってきます。詳しいことはお住いの市町村に問い合わせて下さい。
在宅で介護をする上でオムツの費用はバカになりません。この制度を使って少しでも経済的負担を減らしましょう。
住宅改修
3つ目は住宅改修です。こちらのサービスはバリアフリーのための工事費用を介護保険で負担してくれるというものです。
工事費用の自己負担分を除く全額を介護保険が負担してくれるのです!
費用は一人20万円まで。この費用は使い切ってしまうと補助が出なくなるので、どの部分を改修するのかよく検討してください。
転居したり、介護度が著しく上がった場合は再び20万円使えます。
この工事でできることは、
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り防止などの目的による床材の変更
- 引き戸などへの扉の取り替え
- 和式便器から洋式便器へ
など多岐にわたります。利用者負担はその人の所得によって1~3割と変化します。
自己負担分が2割の人が総額22万円の工事を行うと自己負担が6万円になります!
2万円(22万円-20万円)+4万円(負担額の満額20万円の2割)
このサービスを受ける主な条件は、
- 要介護認定を受けていること(要支援・要介護どちらでも可)
- 事前に申請し承認を得ること(市町村による)
です。事前の申請には担当のケアマネージャーの理由書などが必要になります。介護をする上でバリアフリー化を検討している場合はまず、ケアマネージャーさんに相談しましょう。
市町村により申請方法が異なる場合もあります。詳しくは市町村の窓口もしくはケアマネージャーさんに問い合わせてみましょう。
住宅改修には大きな金額が動きます。その負担を少しでも減らすためにサービスを利用しましょう!
特定福祉用具販売
4つ目は特定福祉用具の販売です。こちらは、
- 腰掛便座
- 簡易浴槽
- 入浴補助用具
などの対象商品を購入する際に介護保険から負担が出るサービスです。先に紹介した住宅改修の福祉用具版です。
特定福祉用具の販売には、
- ケアマネージャーさんの理由書が必要
- 事前の申請が必要(市町村ごとに申請方法があります)
- 10万円を上限に、利用者負担額(1~3割)を除いた額が支給
と住宅改修の要件と似た所があります。違うところは、毎年10万円の上限額が復活するところです。
初年度に腰掛け便座(10万円)を購入。翌年度に入浴補助用具(2点、合計10万円)を購入、ということが可能なのです。しかし、際限なく使えるわけではありません。
古くなったから、という理由での買い替えができなかったりと決まりはあります。また、県などの指定を受けた事業者から購入しなければならないなど制限もあります。
こちらのサービスもケアマネージャーさんに相談して、一番必要なものを選んでいきましょう。
障害者控除
最後は”障害者控除”です。これまでご紹介してきたサービスは基本的にお金や物を給付するものばかりだったのですが、こちらは違います。
もともと障害者控除は身体障害者手帳を持っている人が使える税制です。年末調整や確定申告の際に所得税や住民税の軽減を受けることができる制度のことです。
介護の必要性が高くなるとこの障害者控除を受けられるようになり、同じように所得税や住民税の軽減されます。
”介護度”ではなく”介護の必要性”と書いたのには理由があって、各市町村ごとに障害者控除を受けることのできる要件が違うからです。
”介護度”を基準にしている市町村もあれば、主治医意見書に記載される介護度の指標を基準にしている市町村もあるのです。ですから一概に
「介護度○以上の方が対象です」
とは言えません。こちらもお住いの市町村に問い合わせて見て下さい。
この制度を使う最大のメリットは、住民税非課税世帯になる可能性があること!
障害者控除により所得の一部が控除されることにより、本来は住民税課税世帯だったのが住民税非課税世帯になる場合があるのです。
住民税非課税世帯になると負担限度額認定証や家族介護給付券の対象となり、使えるサービスの幅が広がります。これはかなり負担が減ります。
また対象者を扶養親族として社会保険に入れている方も障害者控除を使うことで税金の控除を受けることができます。
介護度をお持ちの方は障害者控除の対象になるかどうか、市町村に問い合わせてみましょう。
まとめ
介護費用の負担を減らすことのできる公的サービス
- 負担限度額認定証
- 家族介護給付券
- 住宅改修
- 特定福祉用具販売
- 障害者控除
以上の5つです。
介護は経済的・肉体的・精神的に非常にキツイものです。でも大切な親やパートナーの介護は頑張りたいものですよね。だからこそ、今回ご紹介したサービスを使って経済的な負担だけでも減らせればと思います!
今回この記事を書こうと思ったキッカケはこの本を読んでから。
この本の”貯める力”の部分で、公的保険をよく知れば民間保険は最小限度でいいと書かれていました。なので、自分の経験から公的保険の一つである介護保険のサービスを紹介してみました。
この記事で介護負担を減らす一助になれたらと思います。それでは(@^^)/~~~
コメント